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日々の雑感を綴る場所。いつか何かを得られることを願って
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夢を見る。
すべてうまくいっている夢を見る。

家計は充実し、家族は健康で、本を読む時間も音楽を聴く時間もあり、子供と笑い合って遊ぶ余裕もある。
傍らでは妻が目を細めて微笑んでいる。窓からはまばゆい日が差し込んでいる。観葉植物が少しでも多くその光を浴びようと葉を広げている。すべてが、輝いている。

甘い果実が、ここには用意されている。

俺は何も疑わずに、それを手に取る。瑞々しく、ちょっとでも力を入れると甘い果汁がふきだしそうなそれを、口に入れる。

夢を見ている。また、この夢を。すべてがうまくいく夢。

果汁が口に広がれば、そこにあったはずの家庭は、音だけを残して姿を消す。妻の優しい笑い声。子供の楽しそうにはしゃぐ声。すべて聞こえるのに、そこには誰もいない。

まるで、亡霊のよう。妻と子供の亡霊は、何も疑わずに俺を待っている。俺は、ただ立ち尽くす。音だけの幸福。俺は、また果実を食べる。甘い汁に浸る。亡霊のような幸福のなか、俺は果汁をすする。

亡霊は何も知らない。
俺も、亡霊となんら変わりはない。

俺は知っているのだろうか。

ここを旅立つべきときを、俺は知っているのだろうか。
俺がここを去るとき、妻と子供は死ぬのだろうか。
俺がここから飛び立つとき、俺は生まれ変わるのだろうか。

亡霊たちは、俺を待っている。光輝く世界で。俺が望む、すべてがうまくいっている世界で。

俺は、立ち尽くしている。残り少なくなった果実をすすりながら。妻と子供の声に、必死に耳を傾けながら。

いつか、来るのだろうか。

俺がここを去り、妻と子供を殺すときが。
もしくは、俺がこの果実の毒に殺されるときが。

それとも、この果実で、妻と子供を殺すときが。

俺は、ただ立ち尽くす。亡霊たちは、何も疑わずに俺の帰りを待っている。
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